「プレシャス ボックス」を発表

  

重要無形文化財「友禅」保持者(人間国宝)森口邦彦氏と生み出す新たな創造の未来

日本の重要無形文化財「友禅」保持者(人間国宝)である、森口邦彦氏とのコラボレーションにより創造されました。日本とフランスを、また森口邦彦氏とメゾンとを時代を超えて結び継ぐ敬意と信頼、そして匠の技の象徴たる作品です。

プレシャス ボックス「紅白」プレシャス ボックス「紅白」

 

出会いと協奏

ニコラ・ボス、ヴァン クリーフ&アーペル プレジデント兼CEOは、2017年に京都国立近代美術館で開催された「技を極める― ヴァン クリーフ&アーペル/ハイジュエリーと日本の工芸」展の企画を通して森口邦彦氏と出会いました。この展覧会では、京都国立近代美術館が収蔵する近現代の日本の多種多様な工芸作品とヴァン クリーフ&アーペルが誇るジュエリー制作技術を凝らして制作されたハイジュエリーやオブジェの作品を対峙させ、関連付けることで、20世紀の芸術工芸作品を問い直す試みがなされました。その中で森口氏の作品は、他の数名の現代の名工芸作家の作品と共に、未来への展望を提示する作品として紹介されました。この機会を得て、ジュエリー制作におけるサヴォアフェールの継承を理念とするヴァン クリーフ&アーペルと、自身がサヴォアフェールの継承者でもある森口氏とが対話を通して、サヴォアフェール(匠の技)を守り、次の世代へ繋ぐために何ができるかを共に模索したいという意志で結ばれました。

そして今年ついに、その願いが「プレシャス ボックス」のプロジェクトに具現化しました。

「プロセスそのものが僕たちのコラボレーションだと思います」と森口氏は振り返ります。

森口氏には、何かまったく新しいものを作りたい、美しいものを作りたい、という強い思いがありました。その思いを羅針盤に、長い間思考を巡らせ続けたある日、時が満たずに保管されていた草案を検証するうちに「箱」のイメージが立ち現れました。軽やかなリズムで秩序をもって展開してゆく黒と白、赤と白の幾何学的な図形を衣のように纏った箱です。大切なものを包み込み、日常に寄り添いながらも凛とした存在感を放つ、美しい佇まいの箱の姿が示されました。

プレシャス ボックス「玄」プレシャス ボックス「玄」

この美を具現化するためにヴァン クリーフ&アーペルは様々な専門的技術を持つ職人たちと協力しました。箱の立体構造を構築する技、幾何学的デザインをモザイクで仕上げる技、モザイクをはめ込むための緻密な枠組みを造形する技、有機的な素材を吟味し、その重さや質感までも見極める技、作品を隅々まで美しく磨き上げる技など、まぎれもなく本物の伝統的なジュエリー制作の様々な技巧を持つ職人たちが互いに、それぞれの専門分野の仕事を尊重しながら自身の技を存分にふるいました。この作品では特に、幾何学的な形のモザイクに使用する素材の選択に特別な注意が払われました。森口氏により示された作品デザインに存在する友禅の色彩や蒔糊の技法を表現するするために様々な素材がひとつひとつ吟味されました。選び抜かれた、レッドジャスパーやマザーオブパール、ブラックエボニーや棕櫚の木などの自然の素材が組み合わされ、森口氏のデザインイメージと一体化した作品は、友禅の精神は共有しながらも、それとは異なる世界を創造しています。

こうした職人たちの妥協のない挑戦が森口氏のイメージの中で完成していた小さな箱を、独自の世界観を纏って現実の世界に存在させました。

 

 未来へ受け継がれる価値

ヴァン クリーフ&アーペルは、サヴォアフェールは今もこれからも生き続けるものであり、その価値は時代と文化を超える普遍的なものと信じます。このプレシャス ボックスは、匠の技そのものとその価値、その尊さを伝えたいという、メゾンの情熱と理念の証であり、匠の技が今も生き続ける証でもあります。「工芸やサヴォアフェールがただ過去からの一種の生き残りであるとか、その歴史的側面だけに価値があるとういうものではないということを伝えたいのです。もともと生き生きとしていて、受け継がれるに値する何かであるということです。その考えを伝えるためには特に『ものづくり』で表現するべきだと思うのです」とヴァン クリーフ&アーペル プレジデント兼CEOの二コラ・ボスは話します。

 

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